序章    1章   2章   3章   4章   5章
 

   序章 人間書物


   1章  巻物の発生


   2章  紙の発見


   3章  書物と書写


   4章  冊子の発見


   5章  印刷術の発見

 

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No. 概要/語句 内容
2-1 紙の発見 中国で蔡倫が105年に麻布のボロや漁網を用いて紙を作り、和帝に献上したと「後漢書」に書かれていることから、蔡倫が紙の発明者だと考えられてきた。しかし、それより古い前漢時代)遺跡から紙の出土があいつぎ、蔡倫の紙より約250年さかのぼった紀元前150年頃に既に紙が存在していたことが分かっている。ほとんど文字は書かれていないが、特に甘粛省放馬灘から発掘された紙には地図らしいものが書かれており、同省懸泉置出土の紙には文字が見られる。
2-2 書写材料としての絹 銭存訓は「書写材料としての絹は、その柔軟さ・軽さ・耐久性・吸収性において、竹や木にはるかに勝っている。地が白いからはっきり書けるし、軽くてかさばらないので、携帯や保管に都合がよい」と述べ、その言葉を受けた西洋人も「この重くてかさばり、紐が切れるたびに散らかってしまう書物は、やがて軽くてしなやかで丈夫な絹にとって代わられる(『書物の出現』リュシアン・フェーヴル、アンリ=ジャン・マルタン 著、関根素子他訳)とする。
2-3 簡冊と帛書 漢王朝の秘庫で、一般書の簡冊に対し、医書、卜書は帛書であったという。〈馬王堆帛書〉「老子甲本」、24センチ、修理され巻物に仕立てられている。「周易 繋辞」、48センチ(上下中央で横に切断されていたのは、折ってあったと推定)
2-4 料紙の加工 速い時代の紙は厚く粗雑で、打紙して熟紙としなければ利用できなかったが、書物の料紙(パルプ紙)は、剤塗布のほか防虫の意味からキハダで染色された。
2-5 書物の料紙についての誤解 本居宣長は、その思想的立場からと思われるが、「玉勝間」の中で和紙は書物の料紙としてのほかに多くの用途があるが、中国の紙は書物の料紙にしか使えないと述べた。この紙についての誤解は、早くは唐紙の弱さを指摘した紫式部に始まって(「源氏物語 鈴虫」)、以来、現代においても続いている(銭存訓、庄威等、紙の発見国の研究者)。


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